書の妙味

 

 

ロゴ書の仕事をしながら、あらためて気づかされたことがある。
完璧に作りこんだつもりの書が、まったく生きていない。
自分が書いたものをお手本のようにして完璧を期そうとしても、

枝葉末節にこだわってしまい、肝心の根っこや幹が生きていない

ものになってしまう、などということが往々にしてあるのだ。

 
お習字でお手本を下に敷いて、それをなぞったところで、

まったく生命力の無い、似て非なるものになるのと同じ道理。

あまりに完成度にこだわって書き込み、作り込んでいると、

逆に目が塞がれてしまうところがあるのかもしれない。
 
これだけ長年やってきても、書にはわからないところがあって、
ほんとうに不思議で奥が深いものだとあらためて感じている。

 

 

フォントのように、幾何学的に完璧に設計された世界ではなく、
歪みながら均衡を保つのが書の妙味。

 
それって人生と似てるかも。
破綻だらけでも困るが、まったく破綻のない人生、
完璧なバランスの上に成り立つ人生なんてツマラナイ。
歪みながらもバランスを保つのが人間的であり、
また宇宙自然の摂理に即したイキ方なのだろう。

 

 

 

平野壮弦書・『字』/2009/H1300xW1000mm/画仙紙・墨

志賀高原ロマン美術館企画展『書Xデザイン 挑戦の系譜』出展作品

 

 

 
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心、魂、宇宙・・・

 
 
自分の心、魂と向き合い、宇宙との対話の中で

生まれ出てくるものと出会う-SOGEN書芸塾ARC-

 

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私は私・・・

 
 
 
 
 
 
私が私の父母から生まれ出ていなかったら、私の作品は生まれなかった
 
 
 
 
私が人生で大きな挫折を経験していなかったら、私の作品は生まれなかった
 
 
 

 
私があなたと出逢っていなかったら、私の作品は生まれなかった
 
 

 
 
私が弱い人間でなかったら、私の作品は生まれなかった
 
 
 
 
 
 
 
私の作品は私
 
 
 
 
私は私の作品
 
 
 
 
無限の宇宙とつながる、なにがしかのもの
 
 
 
 
 
 
 

『蒼い瞳のエビス/Ebis with blue eyes 』(2016/ソウル展出展作品・個人蔵)
 
 
 
 
 
 

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女は神秘の宇宙なのだ

 

 

女は宇宙である。
一つには、実際に子どもを産む産まないにかかわらず、生命を生み出す力を備えている点で。
もう一つには、人智の及ばない(特に男には理解不能な)法則に基づいて動いているという点で。

 

宇宙は、なぜ?どうしてこんなことが起こるのか?といった、人間が解明し得ない謎に満ちている
わけだが、女もまさにそう。男からすると実に不可解な、常識を超えたものを秘めているところが、
まさに宇宙的なのだ。

 

現に、自然とともに人々が生きていた太古の時代にあっては、邪馬台国の卑弥呼のように、
女が神事を司り、政(まつりごと)も行っていたわけだが、それもまた、女のほうが
男以上に宇宙自然と繋がる力に優れていると考えられていたからだろう。
だが社会が複雑化していく中で、「やっぱり女に任せてたら、収拾がつかなくなってヤバくね?」
といったかんじで、理詰めで物事を考え、現実的な対応能力に優れた男たちが実権を握り返し、
今日に至っているように思われる。
 
まあ、その男たちは覇権を争う中で侵略や殺戮を繰り返し、人類史上ロクなことをやってこなかった
わけだが。
それでも、この宇宙は人間にとってあまりにも不可解であり、同様に女もまた不可解であることから、
まだ男たちがこの世の中を現実的に動かしていったほうがいいだろうとの支配者たちの思惑から、
今日に至るまで、女性たちの社会進出が意図的に妨げられてきたところがあるように思う。
また女たちも、そのほうが楽だということで、男をおだててやらせてきた節もあるかもしれない。

 
もちろん、女性にも男性的なところがあるし、男性にも女性的なところがあるわけだが、
やはり持って生まれた性のちがいは大きいということなのだろう。

 

男は自分を生み出した宇宙(=女)への愛憎の中で、自らの生きる意味や生き甲斐を求めて
あがいている孤児のようなもの。女性に対して、ときに憧れ、ときに反抗したりしながらも、
結局は女性の手のひらの上であそばされているようなところがある。
女には到底敵わない・・・その悔しさのようなものが、女性蔑視や女性差別の元にあるような
気もする。

 

そしてこれは理想論かもしれないが、そんな中で、男と女それぞれの特徴が、もう少しうまい具合に
絡まって、互いに生かされていったなら、世の中も少しはマシになっていくような気がするのだが、
どうだろう。
いまの日本の政治状況など見ても、権力者たちは、男も女も「らしさ」を、どちらかというと
マイナスの方向に発揮して、気色わるいばかり。一般庶民のことなどそっちのけで、
病み闇な権力闘争と保身に明け暮れて、もうグチャグチャじゃないか。
そういった所でも、男と女の長所をもっと生かし合ってもらいたいもんだと。

 

また芸術に関して言えば、男は理詰めで作品を構築し、女は直感で作品を生み出していく傾向がある

ことから、双方が学び刺激し合う中で、新たな芸術世界もまた拓かれていく可能性もあるように思う。

 
そんなことを言いながら、もう女はコリゴリ、なんて思っている自分もいたりするのだが・・・W
女は神秘の宇宙。ああ、宇宙に帰りたい(笑)

 

 

 

左:抱く embrace /700x345mm (SOGENソウル展2016出品作)

右:華ある人 person like a flower /700x345mm(SOGENソウル展2016出品作・個人蔵)

 

 
 
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宇宙の旅人

 

 

「自分は宇宙人で、地球にあそびにやって来たんです。」

昨日、宴を共にした或る友人が言った。

「だいぶ地球化したところもあるけれど」と。

トンデモ発言のようだけれど、実は、人類みんな、そうなのかもしれない。

宇宙から来て宇宙に帰る。みんな宇宙の旅人なのだ。

 

このロクでもない、美しき地球の旅を、たのしもう♪

 

 

 

Untitled-sis2016-s010 /347x245mm

(2016 SOGENソウル展出品作・個人蔵)

 

 

 

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宇宙を瞬時に生み出す/2016.11.13 フリークラス塾生作品より

 

 

もう一つ、フリークラスの作品からご紹介します。
こちらの作品もまた、レッスンクラスとアートクラスにダブル参加している別の塾生の手になる作品です。
何か細胞のようにも、宇宙の星々のようにも見え、見ていると惹き込まれそうになりませんか?

 

だったら細胞や宇宙の写真を撮ったほうがより緻密な世界を映し出せるんじゃないか、

と思う人もいるでしょう。
現象を自らの美意識をもって瞬間に切り取る写真ももちろん素晴しい芸術作品と成り得ますが、
この、人が自らの手で心の内なる風景を瞬時に表していくこと、またそれを通して一つの宇宙を

瞬時に生み出していくところに、書芸の本質と醍醐味があるといえます。

 

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それにしても、書道を長年やってきたわけではない人たちからこのような作品が生まれる様を

見るにつけ、書道の上手い下手に関係なく、萬人の中に芸術的才能が眠っていることに

あらためて気付かされる思いです。

書芸塾も、いま企画中のワークショップ『どこでも書芸』も、そうした人々の中に眠れる才能を

覚醒させるアシストをしていくことに主眼を置いたプロジェクトです。

どんなお宝に出会えるか・・・

みなさんと、みなさんから生まれる作品との出会いを、これからもたのしみにしています。

 

 

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書芸の真髄に迫る/2016.11.13 フリークラス塾生作品より

 

フリークラスでまた傑作が生まれた。

こちらはレッスンクラスとアートクラスにもダブル参加している塾生の作品。

この人は今回、拾ってきたという木の葉や皮、木の実など、いろんなもので書いていたが、

このとき6枚の半紙を並べた紙面に、墨に浸した木屑を引っ掴んで放り投げた。

 

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木屑を投げてつくった作品なんて、書じゃない!と思う人もいるだろう。

筆を手に、書道的にも立派な文字を書くのが書であると。

かつては自分もそう思っていた。

が、昔、雑巾に墨をつけて投げることで表現した塾生から教えられた。

ああ、自分はまだ書道というものにこだわっていたと。

いや、もちろん、雑巾を投げればいい作品ができるというわけではない。

が、表れた世界が素晴らしかったなら、表現手法は何でもありなのだ。

 

そして上の作品。

かかった時間はコンマ何秒。これほど一瞬にして出来た作品も珍しいだろう。

しかしどうだ、この生まれ出た世界の広大無辺なこと!
 
書芸術の価値は、かけた時間の長さではない。
一瞬にして宇宙を生み出す力はビッグバンと同じ。

 

すぐれた作品は、全体を見てもいい上に、どの部分を切り取ってもいい。

要はすべてが生きているということだ。

その証拠に上の6枚をバラして眺めてみても、一つ一つが作品になっている。

しかも半ば偶然とはいえ、よくその最初で最後の一撃が4枚の紙面の境界に

飛んだものだと。

いや、これは偶然ではなく必然。

この人がこの世界に生まれ、生きてきた。

その果てに、この創造の瞬間は生まれたのだ。

 
 
書道と書芸のちがいをよく聞かれる。
そんな時は「書道が大相撲なら、書芸はマーシャルアーツのようなもの」と答える。
素材にも表現手法にも制約はない。
 
ただ表現者が自らの生命と魂を吹き込んだ線を根底とした表現芸術であること、
そしてその線の織りなす世界が生きていること。

 
それこそが書芸の本質であり、また真髄なのだ。

 

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SOGEN書芸塾ARC・フリークラス:http://sogen-arc.com/freeclass/index.html
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韓国・大田(デジョン)大學でのSOGEN特別講義&席書揮毫風景/2016.10.31

 
 
ソウル個展の会期中、韓国・大田(デジョン)大學での特別講義のご依頼いただき、行ってきました。
対象は書道学部、建築学部、デザイン学部の計約100名の学生たちで、テーマは『人・都市・自然・宇宙』。

 

私のワケのわからないアートを見て憮然としていた書道学部の教授が、文字作品を見せたところ、

「なんだ、ちゃんとした書も書けるんじゃないか」てな感じでニッコリしたので可笑しかったです。

まあ人間、自分が分からない世界に対しては不安になり、分かる世界を見せられるとホッとする、

というところがあるのでしょう。

 

日本で大学での講義を頼まれたことはまだ一度もありませんが、韓国では一昨年も

圓光大學で講義を行わせていただくなど、大学からもよくお声がけをいただき、

ありがたいかぎりです。

私が喋っただけで感動して震えている女学生も居たりと・・・笑

これはひとえに、韓国を代表する書芸家の先生たちが、「SOGENセンセイは天才であり、

書芸界のピカソだ」といった風に若者たちに伝えてくれているおかげで、

「私たちが尊敬している先生が尊敬している先生」といった眼差しで接してくれるからに

ほかなりません。

 

特に書道学部の学生は、日本もそうですが、書道を仕事にするとしたら、学校の先生になる

くらいしか道がなく、将来に希望を持てずにいる者が少なくないのが実情。

そんな中で、書にはこんなにも可能性があるのだということを実例とともに伝えることで、

何かしら得るものがあればと願いつつ、お話させていただいています。

 

 

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日本から一泊二日でソウル展を見に来てくれた書家・現代美術家の山本尚志さんのことも

紹介させていただきました。

 

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記念揮毫を頼まれ、一筆。(作品は大學に寄贈)

 

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いままで人前でパフォーマンスなどしたことはないという書道学部の70歳の大先生も

コラボレーションして書いてくださいました。

上から塗りつぶしてやろうかと思ったのですが、さすがにそこは・・・笑

こんど機会があったら、もっと学生たちと肌身で交感したいです。

貴重な機会を与えてくださった大田大學のみなさんに、心から感謝申し上げます。

またお会いしましょう!
 
 
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職業、人類

 

 

職業、人類

 

「職業は人間」と言った人がいますが、自分は「職業、人類」と応えたい。
これまで自分には、人類愛などカケラも無いと思いながら生きてきました。
人間なんてロクなもんじゃない。世界のどこかで戦争や災害で人がどれだけ死のうが、

気の毒には思っても、「ああ、自分じゃなくてよかった」と思っている自分がいたのです。

 

2016.8月講師 tachikawa tomoko-3でも、なんなんだろう・・・先日の書芸塾でイルカの映像を見ながら、

イルカになって書くというワークをしたおかげなのか・・・ああ、自分は

人類だったんだ、と、今更ながら気付かされたのです。
イルカからしたら、ウチラは人類なのであって、イルカは人類に対して

親近感を持って、ラブコールを送ってくれる。◯◯会社の◯◯課の何々
さんですね、よろしくおねがいします、なんてことじゃなくて、

やあ、キミは人類だね、こんにちは、てなもんで。
 
イルカがなぜ、初めて見た人間を怖れもせずに親近感をもって寄ってくる

のか不思議ですが、人間を仲間のように感じていることだけは確かでしょう。

(もしかしてイルカは魚ではなく哺乳類だから?)

 

 

話は変わりますが、昔、宇宙飛行士毛利衛さんの講演を聴いたことがあります。

宇宙まで行った人が、一体何を思い、何を語るのだろう?と、興味津々だったのですが、

毛利さんの話の中で、次のような言葉が強く印象に残りました。

 

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「生命を持続するための原動力は、生きる喜びにある。」

 

「誰もがDNAの組合せがちがう=誰にもチャンスがある。」

 

「個の一人勝ちは長続きしない。それを人類全体の力とし、

未来への生命のつながりに貢献することが人の喜びにつながる。」

「宇宙の奥まで見通す澄んだ目、強い意思、生命全体のことを

考えるやさしさが大切」

 

「人類は種として繁栄しようとしているからこそ、あらゆる環境の

変化に適応できるよう、多種多様の人間を生み出している。

予測しがたい未来の環境の中で、誰が生き残ることになるかは分からない。

だから人間はみな違っているのであって、それは宇宙自然の理であり、人類の意思でもあるのだ。」

 

 

皆が同じになってしまっては、種としての存続にとって危険であり、だからこそ、

自然は多様なのだということ。
教育研究家の大田堯さんも 「みんな違っていい、じゃなくて、最初からみんな違うんです! 」

と言っていますが、多様性を認めないということは、人類という種の存続にとっても、

国や組織といった集団の存続にとってもマイナスになる、ということだと思います。

 

人間は個として生きています。
と同時に、この宇宙に生まれた人類という大きな命の流れの中にあるのです。
他人の成功や幸福も、失敗や苦難も、すべて人類全体のものであって、

自分と無関係のものではないのだと。

 

 

人間嫌いの自分が、あらためてそう思ったら、人間を見るのがオモシロクなって

きたから、あら不思議(笑)
いつもなら人間となるべく目を合わせないようにスルーしている自分ですがW、

今朝は散歩しながら思いましたよ。

 

スシ詰めの満員電車で毎日通う会社員のみなさん、ごくろうさま!
朝イチから解体工事でがんばってる土方のオッチャン達、ごくろうさま!
ママチャリの前と後ろに子供を乗せて突っ走ってるおかあさん、ごくろうさま!
朝からシカメッ面して歩いてるオッサン、ごくろうさま!

 

ってことで、昨夜の思いつきも、おそらくそんな心境から出てきたことなんじゃないかと。
要は自分一人だけが楽しくて幸福だ、なんてことはあり得ない。
人類全体がイキイキとして楽しかったら、自分もうれしい、ってことでね・・・

 

まあそんな気持ちもいつの間にか消えてしまって、オレがオレがになりがちなのが

人間だから、先のことはわからないけど、せっかく人類に生まれたんだから、

人間、もっと人類をたのしんでもいいんじゃないかと。
ロクでもないところだらけの人間だけど、イルカが愛してくれる人類なんだから、

そこは自信をもっていいと思うよW

 

職業、人類。
人類を生き、人類をたのしもう♪!

 

 

 

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愛への渇き

 

 

だいたい何か閃くのは散歩してる時とか風呂でくつろいでる時だったりするんだけど、

昨夜、銭湯帰りに満月を眺めながら、ふと思ったことが。

 
桜,自然,宇宙,神,愛自然は誰か特定の人に向かって愛のシグナルを送って

いるわけではなく、萬物萬人に対して等しくいのちの

贈り物を届けているのだろう。
たとえば打ち寄せる海の波を見て何か心が癒されるとか、

桜の開花に心もほころぶとかいったことがあるわけだけど、

それって自分だけのものではなくて、萬物萬人への

贈り物だよね。

 

一方で人は欲張りなものだから、そういったもの

だけでは満ち足りずに、自分だけが何か特別な寵愛

を受けたいっていう、愛への渇きみたいなものを

強く持っているような気がするんだけど、どーですかね。

 

 

 

だから、実は生まれただけでも奇跡的で、すでに天から祝福され、毎日色々な贈物を
いただいているはずなのに、そこに満足できずに、自分のことを愛し、哀れみ、救いの手を
差し伸べてくれるような、自分にとって特別な存在を希求する・・・それは親だったり、
師だったり、友達だったり、あるいは伴侶だったり、恋人だったりと。
ところが他人に頼っても、そう簡単に愛への渇望は満たされるものではないから、

普遍的な人格をもった神や仏を創造して、叶わぬ願いや心の渇きを満たし癒やそうと
してきたところがあるんじゃないかと。
そして芸術もまた、満たされ得ぬ想いや愛への渇きを癒やす術でもあるのだろうと。
人間同士や男女の付き合いもそう。
人には、他人との不用意な接触を避けながらも、精神的、肉体的に人とふれあいたいという
強い願望があるのだ。
そして、人や物事に対して感じる不平不満は、自分だけが特別に愛されたいという、
愛への渇きから生まれているところも、もしかしたらあるのかもしれない。
 

宇宙自然は大きな親のようなものであり、萬物を生み出し生かすこともすれば、消滅させもする。

また「あーしろ、こーしろ」と生き物たちに指示することもなく、アズ・ユー・ライク、

あなたの好きなように生きればいいと、野放し状態にする。

そして常に無報酬で生き物たちのいのちを支え、応援し続けてくれているのだから、
それは実はとてつもなく大きな愛の発露といえるようなものなのだが、

人間は不安になって、生きる意味を、神仏に、他人に、自らに問う。

「自分はなぜ生まれ、ここにあり、どこに向かっているのか?」と。

そのとき、「これこそが真理であり、正しい道である。」と説く人物や宗教に、

人はすがりたくなるものなのだろう。

自由を求めつつも、すべてを自分自身に委ねるのは心もとないので、

「こうしていればいいのだ」と支持されたり支配されたりすることを、

人はどこかで望んでいるところもあるのかもしれない。

 

 

 

書,書道,アート,書道教室,芸術家,孤独

書も実はそうで、自由に書くことは大きな喜びである

とともに、心もとないところもあって、

「こう書くのがいいのだ」と指示されることで大いに

安心できるところがある。

対して芸術は、人マネではなく、独自のルートで

宇宙自然の真理を探り、そこに近づく術であることから、

自由に創造する喜びとともに、広い宇宙にただ一人

投げ出された孤児のような不安や心もとなさが

常につきまとう。

所以、芸術家は孤独なのだ。
芸術家は、猛烈に愛に飢えた、孤独な旅人のような

ものなのかもしれない。

 

 

奥深い芸術ほど、愛への飢えを抱えながらも、
人間界の常識や、喜怒哀楽といった感情、人間同士の愛憎
といったものを超えて、宇宙自然の普遍的な
真理に迫りゆくものであり、萬物萬人に対して等しく
何かを発し与え続けるものなのだろう。
波の満ち干きのように・・・
樹木が枝葉を大空に向かって伸ばしていくかのように・・・
ただそこにあって、人々からことさら誉めそやされることもなく。

 

 

 

桜フォト:村上洋司さん(エナジーコーディネーター/SOGEN書芸塾ARC・2016年度特別講師)

アート作品画像:SOGENアートワーク『2012-074 Untitled』

 

 

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