正体(せいたい)のこころ



新潟県十日町市の実家に帰省した折、川西地区の小嶋屋さんのそばを車で走行中、
押しボタン式信号機が赤になったので停車したところ、小一か小二くらいの小さな
女の子が、渡り終わってから立ち止まり、こちらに正対して深々とおじぎをしたので、
思わず手を降った。


その昔、早朝に、東京の仕事場の近所にあるお寺を訪ねたところ、境内を掃き清め
られていたご住職とおぼしき老僧が、ほうきの手を止められ、こちらに向き直って、
「おはようございます。」と深々とおじぎをされた。
見ず知らずの者に対し、そこまで丁寧にされずとも良いものを。
挨拶するにしても、掃除をしながらでも、決して失礼というわけではないのに、
と思いつつも、その姿に心打たれるところあり、「一意専心」して、人に相対しては
「正体」するこころを、そのとき学ばせていただいた気がした。

以来、いつもそうとはいかないが、そのときのご住職が、心の隅に棲まわれている。

それこそ、説教ではなく、身を以て示された、真の教えというものだろう。


そして今日、その姿を、地元の小学生の中に見た。
横断歩道を渡りながら頭を下げるだけでも大したものなのに、そうはせず、
渡り終えてから、立ち止まってこちらに向き直り、おじぎをするところが。

学校で先生から言われて素直に従っているのかもしれないが、真心は素直な心が
育むものなの かもしれない。



ちなみに書道で「正体(せいたい)」といえば、正規の書体を表すとともに、
文字が横を向かずに真っ直ぐ読み手や鑑賞者のほうを向いている姿を表す。

何事も、この正体が基本であり、そこから様々な姿形に変化していく。

どう造ろうが崩れない堅固な城が、しっかりとした土台の元に築かれるのは、
芸道にも人生にも通ずることのように思う。





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