前、宇宙飛行士の毛利衛 さんの講演を聴いたことがある。 そのときの毛利さんの話の中で、深く印象に残ったことがあった。 それは、人間ひとり一人に本能や想いがあるように、 人類としての本能や想いもまたあるのだ という話だった。
毛利さんは次のように語った。 「アメリカのアポロ宇宙船が初めて月面に降り立ったとき、 当時敵国だったソ連の宇宙関係者や国民たちが、みんな拍手喝采したのです。 それは国や人種を越えた、人類としての素直な喜びだったのだと思います。 オリンピックで新記録が出ると、全世界の人々が感動し、拍手を送るのもそうでしょう。 人類が一つの壁を打ち破ったことが、人間は我がことのように嬉しいのです。」
なるほど、と思った。 もしチーターが100Mを5秒で走っても人は感動しない。まぁ、さすがに速いなぁ
とは思うだろうがW 人間が、これまで肉体の限界とされていたものを越えて、新たな記録を打ち立てたことが 感動を呼ぶのであり、月面着陸も人類の科学技術が不可能とされていたことを達成した喜びなのだ。 それは、人類としての仲間意識があってこその感動であり、喜びであることに違いない。
SOGEN ARTWORK:『人〜何があっても歩き続ける〜』
また、毛利さんは話の中で、もう一つ、なるほどと思ったことがあった。 それは、「人類は種として繁栄しようとしているからこそ、あらゆる環境の変化に
適応できるよう、多種多様の人間を生み出している。予測しがたい未来の環境の中で、
誰が生き残ることになるかは分からない。 だから人間はみな違っているのであって、それは宇宙自然の理であり、人類の意思
でもあるのだ 。」といった内容だったと記憶している。 皆が同じになってしまっては、種としての存続にとって危険であり、だからこそ、
自然は多様なのだということだろう。 教育研究家の大田堯 さんも 「みんな違っていい、じゃなくて、最初から みんな違うんです! 」 と言っている。 多様性を認めないということは、人類という種の存続にとっても、国や組織といった集団の
存続にとっても、マイナスになるということだ。
人間は個として生きている。 と同時に、この宇宙に生まれた人類という大きな命の流れの中にあるのだ。 生きるというのは、楽しいこともあるが、辛いこともたくさんあって、もう死んでしまいたい
なんて思うことだってあるだろう。 けれど、ひとり一人が、一個の人間であるとともに、人類にとって、命を受け継ぎ、
また次世代へと繋げてゆく、かけがえのない存在なのだと思う。 またそれは、生物として子孫を残す、ということだけでのことではなく、人間がこれまで
築き上げてきた文化文明を伝えるとともに、人間の持つ愛、勇気、希望、創造力といった、
目には見えないものも含めて繋げてゆく、という意味においても。
そう考えると、人間、悩みは尽きぬとも、もう少し気楽に考えて、人生を楽しんでいいような気がする。 個として長生きしたところで、たかだか100年なのだ。 もちろん、人任せにして自分は何もしなくていいというのではない。 焦ることなく、自分ができることをやっていく中で、自分なりの方法で繋いでいけば、
それでいいんでねーの?ってこと。 自分に出来ないことは、人類の誰かがやってくれるのだから。
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