
2.3(土)
韓国ソウルの国際会議場で開かれた『韓中日2007書芸ワークショップ』の報告の続編です。
午前中に韓国の金鍾鍵(キム・ジョンヴォン)氏が、韓国の書芸 デザインの現状と
展望について語り、 続いて中国を代表して 中国中央美術学院・教授の李小波
(イ・ソンパ)氏が中国の 書芸デザインの実例を多数紹介しつつ 中国における
書とデザインを 巡る現状を語ったことは、先の日記で述べた通りである。
二人の発表は素晴らしく、書とデザインの新たな融合世界の魅力を示すに
十分なものとなった。
さて・・・午後はいよいよSOGENの出番なり。
司会者の紹介を受けて登壇。
まずは韓国語で「アンニョンハセオ。マンナソパンガスミダ。
キムチ アジュ チョアヘヨ。チャルプタク ハムニダ。」と挨拶。
「こんにちは。はじめまして。キムチ大好きです。よろしく!」
ってなかんじ・・・(韓国語での挨拶はウケた。)
一夜漬けの韓国語・・・なかなか覚えられなかったので、何かのイメージに結びつけて
覚えるようにした・・・たとえば「チャルプタク ハムニダ」なんかは、チャルメラを
吹いてるブタがハムになってヨロシク!ってなかんじ・・・笑
その後は日本語で、「ほんとはもうちょっとスリムだったんだ けど、韓国に来て焼肉と
キムチがうまくて食べ過ぎて、 一晩で太ってしまいました。」と挨拶。
また「この髪型は頭でも書けるようにしたいと思って」と頭をグルグル回して見せたら、
これまたウケた。
さて、つかみはOKってことで、マジな話に入る。
演題は「日本の書芸デザインの現況と展望」。
まず始めに、自分はデザイナーではなく書芸家であり、一書芸家としての視点から、デザイン
書にかぎらず、過去・現在・未来の書芸世界の展望を語らせてもらう、と断わらせてもらった。
講演の概要はおよそ以下の通りだ。
「書芸術の本質は書線にあると考える。名品をなぞってみたところで、形はそっくりでも
生きた線を引くことは出来ないのだ。
また書線そのもに芸術性があるのだとすれば、文字や言葉から離れた抽象表現も当然あり
だと考える。
書芸術においては、出来るかぎり意図や計算を排したところから良いものが生まれてくる
ところがある。
そこが緻密な計算をもって成されるデザインとは違うところ。
自分はデザインに使われる書も書くが、 たとえ数カ月で消費される運命の商品ロゴであれ、
書として良いものを書きたいと常に思っている。
それは書が日本、そしてアジア共通の芸術文化を表すものだと考えるからだ。だから仮に
数百年後まで残ったとしても、遜色ないものを残したいと思っている。
単に「デザイン書」といった範疇で書を考えるのではなく、過去・現在・未来と続く
書芸術の歴史的な展望のうえに立って書を考え、作品も書いていきたいと思っている。
分野にこだわらない形で、さまざまなアートが生まれている現代において、書芸の世界に
あっても、書道という旧態然とした枠組みに 囚われるのではなく、他の分野と交流し互いに
刺激を与え合う中で 新たな表現世界を生み出していくことが求められている時代にあると考える。
書とデザインの融合世界もまたその一つである。
書がデザインとのコラボレーションにより新たな息吹を与えられ、現代人にとって
懐かしくもまた新鮮な形で蘇り、多くの人々に感動を与えることが出来るのだということを、
今日の金先生、李先生の講演を聞かせてもらい、再認識した思いである。
ここに集った多くの韓国の若い人たち、そして日本、中国も含め、アジアの若い人たちが、
21世紀に、アジア共通の芸術文化である書芸術を核に、さまざまなアートやデザインを生み出し、
世界に熱いアジアン・アートの旋風を巻き起こしていくことを心から願ってやまない。」
そのほか、日本の書道の世界や書写教育、書芸デザインの現状など
について、語れる範囲で語らせてもらった。
まぁ何やかやと、なかば口八丁だったけど、講演発表も 何とか無事に終えることができた。
そんなに話すことなんかあるんかいな・・・と思ってたけど、 実際は通訳が喋っている時間が
半分なわけで、気がついたら 予定時間をオーバーしてしまっていた。
今回の講演がスムースにいったのは、通訳にあたってくれたhitomiのよどみない通訳のおかげ
が大であり、感謝している。
さて、質疑応答も済み、いよいよ締めのパフォーマンス。
パフォーマンス用のユニフォーム?(空手着)に着替え、
会場で用意してくれた大紙に大筆でオイラの熱い想いを揮毫。
次に金さん、李さん、そして韓国の書芸家・余泰明氏、
姜乗虎氏が加わり、共に一つの作品を仕上げ、満場の
喝采の中で、『韓中日2007書芸ワークショップ』は幕を閉じた。
(なお、このワークショップの模様は、2月9日(金)韓国・国営放送SBSで全国放映された。)
会の終了後は参加者からのサイン責めに・・・。
そしてその日の夜は、ドド~ンと打ち上げ!
金さん、李さん、通訳のhitomiとmasami、「筆墨」の
スタッフの 人たち、地元の大学教授や関係者の人たち
とともに、大いに飲み 語り合った。
金さんは途中でダウン・・・聞けば1週間前に目の手術をし、
その後も毎日2~3時間の睡眠で、このワークショップの
準備をして臨んだという。
金さんの熱い情熱と努力、そして温かい心遣いに、あらためて感謝の意を表したい。
金さん、ありがとう! そしておつかれさま!
(なげ~よ! でもまだまだつづく・・・)
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